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BBC NEWS: ナショナリズム一色の韓国サッカー

BBCのソウル駐在記者による韓国サッカー事情について書かれた記事「South Korea's hard act to follow」は、いかにも、サッカーの本家英国らしい皮肉たっぷりだが、日本にとっても、示唆的なものだ。

まず、記事は、韓国における代表チームへの声援が尋常なものでないこと、本大会を前にして、4年前の日韓共催大会におけるベスト4進出、国を挙げての熱狂と歓喜の再現を求める国民の期待の大きさを紹介する。前回大会での熱狂ぶりはスポーツイベントというよりも、ある種宗教的な行為に近いとも。韓国代表に対する声援はナショナリズムと不可分で、国歌とともに独島(竹島)がスクリーンに映し出されるといった具合。周辺国によって簒奪された不遇な歴史からの名誉回復の意識が強いとも指摘している。

英国人記者の目にはあまりにもむき出しのナショナリズムが不気味に映るのだろう。この点、日本の代表への応援スタイルは、洗練され、またよくコントロールされていて、外国人にとっても恐怖感はないはずだ。あくまでもいまのところだが。スポーツの代表チームへの応援を国策、あるいは政治目的に使いたいという誘惑は、どこにでも存在するが、これがどこまで節度を持ったものになるかは、各国の民度の高さも関係する。

ちなみに、サッカーワールドカップでは英国代表というのは存在しない。今回出場するのはイングランド代表であってUKのナショナルチームではない。先日、日本代表と親善試合をしたスコットランドの他、ウェールズ、北アイルランドが予選で敗退している。そういえば、2012年のロンドンオリンピックでのUK代表を統一チームにするのかという話がありました。

さて、この記事では韓国では盛り上がるのは代表の試合だけで、国内リーグは低迷していると厳しい。海外トップレベルのプレーにアクセスすることのできる時代に、あらゆる点で見劣りする国内リーグは魅力に欠ける難しさがある。海外で活躍する韓国人選手も多いだけに、国内の空洞化が避けられないのかもしれない。国外で活躍する自国出身の個人選手を生み出すよりも国内リーグを持続的に発展させていくほうが、より困難な課題かもしれない。

これに関しては、日本のプロ野球にも異変が生じている。WBCで日本代表の試合で大いに盛り上がったが、ペナントレースがイマイチだ。そして、一番影響を受けているのが、巨人。巨人戦のテレビ視聴率がまったく上がらない。もはや、巨人戦を全国ネットで流す時代ではなくなったのかもしれない。巨人は長らく全国的な人気があり、ローカル(地元)のない代表チームだった。それが、本当の代表チームの登場によって完全につぶされてしまった。巨人からナショナルを奪ったらローカルがないだけに存在基盤が揺らぐ。巨人戦で放映料が稼げないとなったら、圧倒的な動員力を持つ阪神のほうが他球団にとってもありがたい存在だ。

強力な地元の支援があって、さらに全国的な人気とブランド力をもつというのが理想だろう。世界的な人気チームであるヤンキーズやレアルマドリッド、マンチェスター・ユナイテッドもベースはローカルチームで、熱狂的な地元ファンがコアのサポーターだ。残念ながら、巨人のそれは、読売新聞の販売戦略もあったのだろうが、まったく倒錯したものだった。東京というローカルを否定し、巨人をナショナルブランド化するすることで、読売新聞の部数拡大つなげてきた。これは、明治以降の中央集権的な日本の発展にも起因している。

東京は中央になる栄誉は手にしたものの、ローカルとしての東京は消失した。不幸なことに、東京人には、素直に応援できる地元のチームがない。神宮球場などは、阪神のフランチャイズ化しているありさま。一方で、千葉はロッテによって東京から独立、埼玉は浦和レッズで、独立を果たした。彼らにとって、東京のブランドは必要ではなくなり、地元チームを愛情を持ってサポートしている。仙台、札幌にも地元球団ができたことによって、地方の住民にとっては、ますます、セカンドチョイスとしての巨人が無用になりつつある。

代表チームの試合だけが盛り上がるのは、経済規模が小さいか、社会が未成熟なのか、そうでなければ、経営の問題だろう。この点、Jリーグは試行錯誤がありながらも、チーム数を増やしながら発展してきた。日本の人口規模、経済力からいけば、どんな地方としてもまだまだ、オラがチームをもてる余地はある。いきなり、代表チームをテレビの画面で応援するのではなく、まずは地元のチームを試合会場でなまで声援することが理想ですね。

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by citywatch | 2006-05-27 12:48 | トピックス/時事評論